2015年6月15日月曜日

VPS VS 自宅PC 24時間稼働PCの故障率は年3割?平均故障間隔からみたメンテナンスコストとリモートデスクトップ設定

Datacenter-telecom.jpg
いやー。FX-ONさんにてVPS VS 自宅PCの議論が熱いですね。

私の意見としては、常時稼働を前提とするサーバーで自宅運用とか絶対なしと思っているタイプです。なぜそう思うのかというとサーバーを運用しているからです(滝汗
自分でサーバーとか運用する気は全く起きませんが、仕事なら仕方がありません。小さな会社ですが、NASx1、DCx2、Webx1、コード管理x1と5台のPCベースのサーバと10台ぐらいのPCを管理しています。

PCはどの程度で故障するのでしょうか?自社のデータから算出したいと思います。
私が運用している環境で、よく故障する部品は下記の順番です。
HDD
電源
ファン
マザーボード

HDD、ファン、電源は回転するモーターがついている物です。
マザーボードは電解コンデンサがダメになって壊れます。

ということで、リアルな運用結果から、平均故障間隔(MTBF)と故障確率を計算したいと思います。
15台のPCには20台のHDDが稼働しています。うち10台は1日平均6時間、その他は24時間稼働しています。去年は2台のHDDが故障しましたので、MTBFは(6 * 10 + 24 * 10) * 365 / 2 = 54750時間となります。大体6年です。

同様に他の項目も計算します。
電源1台/年 MTBF 109500時間
ファン1台/2年 MTBF 131400時間
マザーボード1台/2年 MTBF 131400時間

初期不良と寿命を除くと機械故障は、ほぼ正規分布になります。その場合の指定期間の故障しない確率を求めるにはExp(-t/MTBF)で求めるそうです。
http://eetimes.jp/ee/articles/1207/26/news014_2.html

この計算式に従い1年間に故障しない確率を求めます。
HDD:86%
電源:93%
ファン:94%
マザーボード:94%

さて、これらが組み合わさってPCが出来上がっていますが、これらの数値から、PCが1年間故障無しに動作する確率を計算すると・・。
0.86*0.93*0.94*0.94=0.70 70%です。

つまり30%の確率で壊れます。PCはよく壊れるということが分かる数字かと思います。
��まぁ中には稼働限界を超えて壊れたものもあると思われますので、少し高めに出ている可能性もあります。)

結論としては、そもそもPCは24時間連続稼働を目標に作られていないという事です。

それと比較すると、VPSが稼働しているサーバー機は本当のサーバー機です。各部品のMTBFが一桁違います。
また、サーバ業者では一般的に停止する前に故障に対応します。
VPSが稼働してるサーバーは最低RAID1(※)で運用されています。また冗長化電源といって、1台のマシンに2台の電源がついており、どちらかが故障しても片側運用できるようになっています。それらが稼働中でも交換可能です。これらを管理コンソールで集中管理することで、完全にハードウェアが停止してしまう前に故障部品を交換可能になっています。
��※)HDDミラーリング。2台のHDDを1台とみなして両方に同じデータを書き込みます。片側故障した場合、HDDを交換することで故障した際のリスクを低減できます。

また、トラブル発生時の対応時間にも、かなりの違いがあります。
たとえば、サクラインターネットの場合、障害発生時の平均対応時間は30分程度となっています。
http://support.sakura.ad.jp/mainte/mainteindex.php?service=vps

また、最悪、データセンターの人に再起動してもらえます。自宅PCに対してVPNで接続できるようにしておいても、旅行いってる最中にPCがフリーズしてしまうと、もうどうしようもありません。
個人で24時間この時間内に対応するのは不可能です。

さて、結局VPSと自宅PCで違いが出てくるコストはなんでしょうか?
それはメンテナンスコストです。電気代などのランニングコストもかかりますが、今ではMT4が十分稼働する省電力PCも存在しており、ランニングコストは低減可能です。

では、メンテナンスコストとはなんでしょうか?
��.交換部品代
��.部品交換/トラブル対応時の人件費
��.故障している間、作業が停止することによる損害

の3つから構成されます。年3割壊れる機械の部品代と修理の手間とその間にEAが停止する損害・・・。もちろん、本番運用前のテスト段階では、自宅で運用もありだと思いますが、本格運用を考えるなら、VPSを考慮したほうがよいというのも判っていただけたでしょうか?

さて、それでも自宅PCが良い!という人は、壊れないようにする努力と、壊れた時の対策を常に行っておくことをお勧めします。
■壊れないようにするために
��.信頼性の高いPCを導入する。
 SSDの導入、サーバマシンの導入など
��.UPSを設置する。(こーいうやつです。http://www.apc.com/products/family/index.cfm?id=349)
��.埃ガード付きタップにする。(たまに埃が原因で焼けます)
��.半年に一回は掃除する。

■壊れた時の対策として
��.PCとルータの予備機を準備する。
��.外付けHDDをつなぎ、Windowsバックアップを定期起動する。(https://support.microsoft.com/en-us/kb/2666277/ja)

・・・書いていて、ここまでするなら、VPSでいいじゃんとかやっぱり思ってしまいました。
逆ですね。きっと。
・余りPCをサーバとする。
・余りPCが壊れたら主PCをサーバにして自分用に新しく買う。
・壊れてEA止まっても年1万円損ぐらいまでならコストとして割り切る。
 ぐらいな気持ちで自宅PCは運用するのがよさそうです。きっとEA稼働で儲かって本格的にやり始めると、EA停止時のコストが2万で済まなくなるので、そのラインでVPSに切り替える。

 余談ですが、VPSが不安定な場合、業者側のサポート体制の問題があります。安定性を重視するなら、過去のメンテナンス情報を参考にして、どの程度でリカバリーしてもらえるのかを確認してましょう。
・サクラインターネット
http://support.sakura.ad.jp/mainte/mainteindex.php?service=vps
・お名前.com
http://www.onamae-server.com/support/news/past.php?act=2&product_id=4
・つかえるネット
http://www.tsukaeru.net/info/category/maintenance

こうやってみると、ここ数年でWindowsデスクトップ関係はトラブルが少なくなってきているのが分かります。Hyper-Vが安定してきたということかと。大手VPS業者のWindows VPSで、この1年障害はほとんど発生していません。リモートデスクトップ接続が安定だとしたら、自宅のインターネット環境に問題があるかもしれません。
リモートデスクトップ.PNG
リモートデスクトップの設定にて、インターネット回線の太さによって通信品質を変更できるオプションがあるので、ぜひ確認してみてください。設定を変えると早くなるかも?