ファンダメンタル分析とテクニカル分析論争にてよく言われることですが、テクニカル分析はオカルトであるです。
大半のファンダメンタル分析があと付けの理由であるといわれるのと同様に、テクニカル分析はオカルトであるといわれます。
本当にオカルトなのでしょうか?
まず、ここでは、明確にシグナルを出すテクニカル分析を対象としたいと思います。
エリオット波動やダウ理論のように上がっても下がっても理由付けが可能なテクニカル分析は対象外とします。(EAでも扱いにくいしね^^;;)
テクニカル分析がオカルトであるといわれる一番の大きな理由は、数理的な裏付けが取れないためです。未来はわかりませんが過去はわかっています。
そこから過去データを用いて数理的な解析を行いテクニカル分析の結果と一致するかは検証可能な作業です。
ちょうどFX-ONさんのサイトを見ていたら、サイクル分析に関する記事がありました。
メリマンのサイクル理論を使いこなす。~その1~
http://fx-on.com/news/detail/?id=9864&g=0&c=1
せっかくなので、検証してみたいと思います。
私も数理解析をもとに相場を乗り切ろうと頑張る一人ですので、周期測定などは重要な要素です。ところが、この周期解析は厄介な問題を含みます。
ユール・スルツキー効果
です。
FXのテクニカル分析で一番問題なのは、ランダムなデータに対して分析を行っても、それっぽい結果が出てきてしまうことです。
その中でも最も有名なのが、ユール・スルツキー効果です。
これは、ランダムで生成したデータでも、加工を行うと周期波形が計測されることがあるということです。あるデータが正規分布でばらつくとすると、その分布内の範囲で価格の偏りが一定の確率で発生します。その結果が波形に見えてしまう現象です。(たぶん・・・^^;;;;)
[検証]移動平均は遅れてる!!!!!
http://mt4program.blogspot.jp/2015/10/blog-post_83.html
の時に検証しましたが、移動平均の遅延を消した状態では、価格は正規分布に従って分散している事がわかります。
このことから十分 ユール・スルツキー効果が発生する余地が出てきてしまうことが想定されます。
ということで、記事を改めてみてみると、4Hにおいて60~80本の間に8割の確率でサイクルが発生するとなっています。実際はどうでしょうか?EXCELのフーリエ変換を用いて検証してみました。
EURUSD4Hに21本単純移動平均をかけて平滑化した結果に対するフーリエ変換です。
図 EURUSD4H フーリエ変換によるスペクトル分析(2013-2015)
・・・・・・・ うーん。60~80の間にいったんのピークらしきものは発見できませんでした。あえて言うと、140と180にちょっとしたピークがあります。
うーん。フーリエ変換からは、ここに80%のピークがあるとはちょっといいがたい気がします。
Wavelet解析をかけてみると周期は20~80の間を行ったり来たりしています。とすると、20の周期を60で描画すれば、上記の条件に当てはまります。とすると描画方法次第なのかもしれません。
波形って難しいですよね。
さて、このようにテクニカル分析といっても数理解析の結果と一致しない場合があります。その場合そのテクニカル分析の信頼性は揺らぎます。
これがオカルトであるという所以です。
さて、ということで、まずテクニカル分析を利用して相場を乗り切りたい人は、テクニカル分析を否定することろから始めてみてはいかがでしょうか?
次の本を読んでみることをお勧めします。
(クリックするとAmazonに飛びます)
冒頭部分だけなら、Googleから読むことができます。
https://books.google.co.jp/books/about/%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%8B%E3%82%AB%E3%83%AB%E5%88%86%E6%9E%90%E3%81%AE%E8%BF%B7%E4%BF%A1.html?id=p6pPBAAAQBAJ&redir_esc=y
このあたりも、WEBで読めるのでお勧めです。
投資と金融にまつわる12の致命的な誤解について
http://diamond.jp/category/s-toushigokai
まぁこれを読んでしまうとテクニカルでポジションを保有するのはダメって感じになります(^^;;;
しかし、理由付けの無いテクニカル分析でも多くの人に普及することによって、逆にそれが有効に働く場合が存在します。
有名なところではフィボナッチ・ピボットです。相場においてフィボナッチ数列には何の意味もありませんが、多くの人が利用することで心理的な抵抗線・支持線として働くことがあります。(こちらも統計的な検証を行うと、3割程度の確率です。逆に3割は意味の無いラインが実際に働いているともとらえることができます。)
このように過半数を超える人が行動をすると残りの人も同じような行動をするというのを、合理的群衆行動と呼ぶそうです。
「たとえオカルトであろうが51%の人が信じれば、それが本当になる。」
ということなのだろうと思います。
たとえオカルトであろうが、なんであろうが、それが数理的・統計的に有効かどうかを判断するというスタンスがテクニカル派には必要なんだろうなと思います。
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